沙羅はニコニコ嬉しそうに見ている。



理恵:『何見てんだょ♪』


沙羅:『あっ!豪輝くん来たよ♪』

沙羅は解っていた。

豪輝の所へ行き


理恵:『ありがとう…』

とだけ言った。
豪輝の事だから何も言わなくても
なんの事か解るだろう。

でも


豪輝:『もう、俺には関係ない!近寄るな!』

と言われた。

ボー然とした。

何か意味があって突き放したんだろう。

そう思って心で解決するしか無かった。

そのまま豪輝の言葉が頭に響き続けていた。



 次に紀利さんの所へ…。


紀利さんはもう学校に居なかった。


転校の事は聞いていたが
ハッキリした日にちは知らなかった。


それと、もう1つ。

後輩に恐れられていた紀利さんだったが
イジメを受けていたらしい。

それが原因で先生と親の判断によって
転校が決まったとの事。

全然、気付かなかった…


私よりも卑劣な事をされていたのに
弱音もはかず同じ立場の私を
逆に助けてくれた紀利さん。

そんな正義感ある人を何故だろう…。

消極的でもダメ!
正義感があってもダメ!

この学校がおかしいのか
この時代がおかしいのか。


とても切ない。

胸が締め付けられる。





 その後、授業をした記憶も
休み時間の記憶も
掃除の記憶も無く。

健一くんの車に乗って我に返る。


すべて落ち着き解決していくと思っていた。


順調な生活ができると思っていた。