理恵:『え?そっちが優先なのぉ?
その娘から声かけた訳ぢゃないぢゃん』

1人言だが、あえて周りに聞こえる様に言ってやった。

店員は焦って自分に対応してくれた。

隙を見計らって蓮音は逃げた。

自分はストレスを発散するかの様に
店員に嫌みを言い続けた。

おばさんくさい。


スッキリした所で帰ろうとした時
お詫びなのか中学生のこんなガキに
Tシャツをプレゼントしてくれた。

(もう、この店には来れないな。)

逆に、その場に居る事が恥ずかしくて
店を出た途端に走ってしまった。



 その後、向かった場所は人気のない建物の裏。

心菜達が既にタバコを吸っていた。


蓮音:『なんなの?なんか偉そうで腹立つ!』

また自分の事を言っていた。

(助けてあげたのに、こんな事言われるなんて。)

でも実際は助けてくれなんて言われてない。

心菜達の所へ行かず自分は引き返した。

悔しいが蓮音に食ってかかる事ができなかった。
1人寂しく切なく帰る。

だが涙は出ない。

兼の声が聞きたくなり初めて自分から電話をかけた。

なかなか出ない。

電話を切ろうとした。


途端に



兼一:『もしもし!?』

息を切らし焦って出た様子。


兼一:『どした?何かあったのか?!』


理恵:『いや…メール見た?』


兼一:『ゴメン今、仕事終わってさぁ。
いつもより忙しくてメール見る余裕なかった。』


理恵:『そっか。解った。』


兼一:『ちょっ…』

一方的に電話をかけ一方的に電話を切った。

最低な女。


もちろん、すぐに兼から電話がかかってきた。



兼一:『何かあったのか?大丈夫か?』

自分から電話をかけた事
すぐに電話を切った事。
初めての事と自分の普段との違いに
驚き心配してくれている。

蓮音の陰口や好きな人が友達と付き合ってしまった事を
相談したかったが。

切り出せなかった。

兼はさっきのメールを見たらしい。

まだ会ってはいないが付き合う事になった。