博:『理恵ちゃん。1本やるよ〜
この前、無駄にさせちゃったから。』


焦って消してしまったタバコの代償らしい。

そういえば手のヤケドも知らないうちに治ってた。



理恵:『ありがとう。でも
ぶっちゃけ初なんだよね…』

そうだ。自分はタバコなんて吸った事もない。

ちょっとした憧れだけで
買う勇気もなかった。


みんな驚いた感じもなく

クスっと紀利さんが笑った。



紀利さん:『それが普通なんだよ。
吸ってる方がおかしんだ〜
吸いたくなければ吸わなきゃいいさ♪』


紀利さんは優しく言ったつもりだろうけど
何故か自分は悔しく感じ
タバコに火を付けた。

(うっ…喉にくる。
でも…
思ったより普通…)




これがタバコを吸い始めたキッカケだった。
中学1年の春
まだ深々と雪が降る3月だった。


タバコを吸いながら喋ってるだけなのに
楽しかった。


その時だけ
さっきまでの苦しさを忘れていた。



 ふと思った。


理恵:『紀利さん!
部活は…いいんですか?』


紀利さん:『あぁ!いいんだ〜今日は♪
それより相田っち気晴らしになった?』



紀利さんは自分に気を使ってくれたらしい。

海美との事を感ずいてくれた優しい先輩。


また、泣きそうだった。



紀利さん:『泣きたい時は泣けばいい!
叫びたい時は叫べばいい!
発散しないと、そこに留まったままだよ。』

左胸を指された。
(ヤバイ…
紀利さんの言葉がグッとくる)


すぐにでも涙が溢れ出そうでいた。



劉樹:『理恵ちゃんなんかあったのか?』


博:『劉樹っっ!いい加減あいつら怒るぞ〜帰るべ!』

博まで気を使って帰ると言いだした。


理恵:『紀利さん!ありがとうございました!!!
そろそろ〜かっ帰ります。。すみません。』

(このまま居たら自分を忘れてしまいそうだ
こんな所で泣き顔なんて見せたくない!…紀利さんには申し訳ないけど。)


また失礼な態度をとってしまった。


結局その場で解散。
皆、それぞれの方向へとむかった。