「それじゃ、家はお願いね。」

母さんはそう言って話を切った。

しまったと思った時には遅かった。

電話は既に切られた後で、私は何も聞けなかった事を少し悔やんだ。

でもその時ふと思った。

私が本当に恐れているのは真実を知ることなのだと…

明らかな答えが手短にあるのにそれを肯定出来なくて、その答えを無理矢理拒否しているのに、母さんに真実を聞かされると私が私で無くなる様なそんな気がして問いただす事が出来なかったんだ。

私はパタンと携帯を折りたたみ、ふぅと小さな溜め息をついた。

怖い。

母さんの声から血の繋がりを否定されるのがとてつもなく怖かった…