そこまでは初めて知る事も少しあったが、以前教会で見た本の通りだ。

しかし、その後の文章…いや名前に私は目を離せなくなった。

ページはこう続いている。

その妖しの森に流刑されたキリシタンの中に一際異彩を放つ存在がいた。



その名を「アリン浅永りつ」本ページの本題である。ちなみに「アリン」は洗礼名である。




彼女は15と言う幼さでありながらキリシタン達に慕われていた。

その理由は、彼女が預言者だったと言うことだ。

キリシタンの歴史上にもその名は知られていない為に飽くまで推論だが、当の式町にはそれらしき文献が僅かだが存在する。

彼女はその非常識な能力の為に神に近しい存在だと崇められていたが、彼女が異彩である最大の理由は、キリシタンでありながら神を信じてはいなかったと言うことだ。