しかしふとそこで思った。

そんな私も暢気に避難出来ている事に気がついたのだ。

胸には相変わらず剣が深く突き刺さっていた。

痛くて苦しい…

でも、死にそうな気配がしなかった。

私はそのまま立ち上がった。

体の中から鈍い痛みが走る。

ボタボタと垂れ落ちる血が白い世界に床が有ることを教えてくれた。

死んだ目をしながら、私はゆっくり歩き出した。

-大丈夫?-

またあの声だ。

今のは少し慌てた風な声だった。

今更慌てるなんてどうかしている。

そう思いながらも私は歩いた。

すると突然目の前に扉が現れた。

開けてくれと言わんばかりに本当に突然だった。

私は足を引きづりながらもその扉に手をかけた。

-彼は…大丈夫なの?-