でもそんな容姿よりも、その雰囲気が私には怖かったのです。

暗く雪の積もった道路に明かりはたった一つの街灯しかなくて、それだけでも十分怖かったのですが、その男性が醸し出していたえもいわれぬ雰囲気に私は臆しました。

優しい男性なのは解るのです。

でも、それとは違うオーラのような物がありました。

-この子供を、育ててあげて欲しいのです。-

男性はやはり優しい声で私にそう言いました。

差し出された赤ちゃんは、玉の様な可愛い女の子でした。

差し出されて思わず手を出してしまいました。

こんな異様な雰囲気でも無邪気な寝顔をする赤ちゃんを抱き抱えながら。私はその男性からやはり目が離せません。

そんな私を見て、彼は言いました。

-やはり、私は人間に怖れられている存在なんですね。本当は人間の方が私達フェリョス…いや、人間の世界では悪魔と言いましたか…それよりも上位の存在であるのに…-

「あく…ま…」

その言葉を聞き、これ以上無い程の恐怖を覚えました。

悪魔と言われても通用するくらいの禍々しいようなオーラがその場にはありましたし、それがまた怖かったのです。