この女性がシスターらしい。

シスターも私を見て、目があった。

シスターは晃二さん同様結構年配な人だった。

５０後半、いやそれ以上と言う所だろうか。

シスターと言うからにはシスターの服を身に纏った人なのかと思ったが、見た目は事務的な明るいグレーのスーツで首の後ろにギリギリ髪が当たる程度のセミロング、身長は１６０より少し上くらいだろうか、穏やかな表情が印象的な女性だった。

「シスターにお話があるようで、連れてきました。粉踏歩美さんです。」

「粉踏さん…もしかして、アリンちゃん？」

いきなりだった。

今の一言は疑いようもない。

この人は私を知っている。

「今は改名して歩美です。」

「そうですか、それは失礼しました。」

シスターは姿勢良く謝罪した後もまた私の顔を見ていた。

「でも、貴女がここに来たと言う事は里子としてここを出た事を知ったと言う事ですね。」

「はい、母さんが教えてくれました。この教会で私を見つけた事も…」

「そうですか…本当なら知らないままでいられたかも知れなかったのに、辛かったでしょう。お話は長くなりそうですね、そこにお掛けになってください。」