背中から形見ではないショットガンを抜き、静かに弾をリロードした。

蚊の鳴くような音でリロードできるのは、父さんから仕込まれたおかげ。

だから、耳の良いヤマネコに気付かれずに接近できた。

地面の上の匂いを嗅いでいるヤマネコに銃口を合わせて、撃った。

バン…!

全身にまんべんなく衝撃が走り、倒れそうになる。
父さんのショットガンより威力はないものの、腕や足にくる衝撃は相当なものである。

しかし倒れるわけにはいかない。

私はポケットに入っていたキャラメルを口で半分にして、ヤマネコに投げた。

しかし、ヤマネコは倒れたまま動かない。
鼻を動かしているようにも見えなかった。
私は完全に死んだんだと言うことを確認して、ショットガンを背中に戻し、手袋を外した。