「飯島です。よろしくお願いします。」

「それで、何の用ですか?」


むかっ。

いくら邪魔したからって、そこまで怒らなくたって良いじゃない。

上目遣い……と言うよりかは、思い切りガン飛ばしてみる。

杉本先輩はちらりと私を見ただけで、すぐに視線を風雅先輩にもどす。


さらにむかっ。

何よ、この人ー!!


「いや、飯島先輩の楽譜探してたんだ。」

「楽譜…あぁ、これですか?」


譜面台に置かれた楽譜を指差して、杉本先輩は首を傾げる。

っていうか、やっぱりアンタが持っていたのか!

しかし杉本先輩は渡そうとしないばかりか、またチェロを持って弾き始めようとしている。


「えっ、あの……」

「伝えといて。まだ使ってるって。」

「はぁ?!

 や、でも兄に持って帰ってくるように言われたのですが…」

「どーせあんたうちの部に入るんでしょ?使い終わったら返すから。じゃ、そーゆーことで。」