「……誰?」


顔が綺麗な人は怒った顔がとっても怖い。

少しうつむいて上目遣い気味に相手を見ると、彼はそれでもきつい視線を私に向けていた。

風雅先輩がそんな様子を見て笑っている。


「飯島椿ちゃんだよ。飯島先輩の妹さん」


飯島先輩―…その言葉がでた瞬間に、また少しだけいやな気持ちになった。

相手はどんな表情なのだろうか。

気にはなったけど、反応は見なかった。


「椿ちゃん、アイツは杉本晴海。チェロパートの2年生。」


促されて彼をもう一度見る。


杉本先輩。

身長は風雅先輩より低いけど、170cmはあるだろう。

真っ白な肌に漆黒の髪。

つり気味の目は少し大きめで、きりっとした印象を与えている。

そこらの女の子よりよっぽど綺麗で、華やかさがある。

だからと言って女っぽいんじゃなくて…男性らしさもある。