呆然とチェロを持つ少年を見ていると、風雅先輩は満足げに微笑んで手をたたく。


「さすがだな、晴海。」


ハルミ……?

彼は先輩に呼ばれて音を止めた。

ガタンと音をたてて立ち上がり、振り返って不機嫌そうな目を私たちに向ける。

……美少年、というのは彼のためにある言葉なんじゃないかと思う。


「……なんですか、風雅部長。弾いてる最中は邪魔しないでください。」

「ごめんねー、譜読みの邪魔しちゃって」


にっこり笑う風雅先輩の言葉に驚く。

今の譜読みだったんだ?!ってか風雅先輩って部長さんなんだ!

目を大きく開いて、風雅先輩と美少年とを交互に見た。

美少年はそんな私を睨みつける。