――……一瞬、天使かと思った。



その少年は私たちに背を向けて、大きな窓に向かって椅子に座り、チェロを弾いていた。

優しくも激しいその音色は、聞いていた私を包み込むようであり、攻撃するようでもあった。


バイオリンで弾かれるべきメロディーだったんだと思う。

でもチェロの重厚感や音の深さが、華やかなメロディーのまた違った良さを引き出している。


「何コレ……すご………」


色んな演奏会を聞きに入ったし、感動したことも何度もあった。

でも…この感じは初めてだ。

鳥肌が立つ。曲に、引き込まれる。