「あれー?本当にないな。

 先輩は何を忘れたって言ってたの?」

「たしか……楽譜です。」


呟いてから私も首を傾げた。

何でないんだろう…お兄ちゃんの勘違いじゃなくて?


「うーん…誰か部員に聞いてみようか。」

「へ?部員に?」

「うん。時々ね、持ち主不明の物とか使ったりするんだよね。」


「つい、ねー?」とか笑ってる風雅先輩を横目でみつつも、楽譜なんて皆持ってるんじゃないかと首を傾げる。


「まぁ今日は部員って言っても僕と、さっき出て行った人と、上に1人しかいないんだけどさ。」

「上に1人?」

「一緒に行こうか。面白いやつだよ。」


何か企んだように笑う風雅先輩がなんだか怖い。