中はロッカールームになっていた。

ロッカーがばーっと並んでいる。

それ以外は何もない無機質な部屋。


「此処はバイオリンの部員たちのロッカールームなんだ。

 ビオラ以下3パートは向かい側の部屋がロッカールーム。」


軽い説明を入れながら奥へと進む。

ロッカーの一つ一つに名前の札が入っている。


「飯島…飯島……あ、あった。」


見つけるやいなや、風雅先輩は思い切りロッカーを開けた。

私も中をのぞき込むと、そのロッカーは空っぽだった。


「あれ?何も入ってないな。」


きょとんとさた瞳で、風雅先輩は上下左右のロッカーを開く。

ロッカーのネームプレートも確認して首を捻った。