望は千春の体を引き寄せて、ぎゅっと力強く抱きしめた。

千春の耳元に顔を近づけて囁く、


「俺の事は気にしなくていいから。」


千春は涙が溢れ出し、鼻をすすりながら、


「そんなの無理に決まってるでしょ!私の事なんて気にしないで」


「俺は、千春さんに楽になってほしいから」


千春は、望の腕をはらって、ふらふら立ちながら望を睨んで、


「ほっといて!あなたに何が分かるって言うのよ!」

そう言って走り去っていく千春。


その姿を呆然と見つめている望。