私をおってきたのはわたしの思い人であり、あの6人の中で一番厄介な奴だった。
よく言えば、よく働く人。悪く言えば体力ばか。
もしわたしのことを彼が好いていてくれたとしても、彼は私を迷いなく殺すでしょう。
だって、後ろから感じる殺気は正に一流のそれだもの。
逃げていても意味がない。そう感じた私は真上に高く飛び上がり、そのまま下にいる彼に切りかかった。
「…ッく」
力を込めて切りかかったのに軽くあしらわれる。ああ、私は、殺される
キンキンと響く金属の音。それは悲しくわたしの心を叩き割る音に聞こえる。
持っていた武器を弾かれ私は腰をつく。あぁ、殺される。
目を閉じて刀に切り殺される痛みを待った。
けど、
「…__」
名前を呼んでも、彼は反応しない。
代わりに、切っ先がふるっと震えた
「なんだ、私…貴方は敵とみなした私をすぐ殺すと思ってた」
笑う。うん、私、貴方になら殺されてもいいと思ったのよ
突きつけられた刀を握って、腹に突き刺した。
刀を握っていた彼は私の突然の行動に驚いて前に動いた。
―躊躇なく私を殺すでしょう―
(だって私は裏切り者だから)