「どうなさったんですか?私の顔に、何か、ついてます?」


にこっと微笑んで、友梨は和音に傘をさしかけた。


小さなラムネのような粉雪が、コロコロと傘の上を転がっていく。


「いえ……」


友梨の、微笑みに、話し方に、和音は戸惑いを隠せなかった。


品があるのに、冷た過ぎない……その態度は、声は


つい7ヶ月前まで和音の隣にいた


『ジョウノユウリ』に、思えた。


でも…  



……まさか、な。  




「深山咲さんこそ、どうなさったんですか、こんな時間に。相変わらず薄着で……身体を冷やしますよ」


和音は気持ちを落ち着けて、台詞を選ぶ。


「あら。傘、持っていただけないんですか?条野さんて、フェミニストな方だと思っていたのですけれど。私の、思い過ごしかしら」


そう言って友梨は、上目使い。