苦しくて瞳を閉じると、柔らかく微笑む友梨の姿。
「友梨さんは、彼女はひとりの人間ですよ?アナタを覚えているか、いないか、それだけの違いでしかない。まして今現在の、アナタの記憶がない筈の友梨さんは------」
「……」
「条野さん、アナタを見つめている。芳情院さんも、認めたように」
「……そんな事なら!」
そんな事なら、気付いてる。
辛いのは、怖いのは……過去の友梨を愛しいと思いつつ、どうしようもなく今現在の友梨にもひかれている、弱い自分。
友梨は、友梨だ。
そう、思ったのに。
そう、思うのに。
言葉の選び方、声のイントネーション、見つめる視線の迷い方まで。
全てが。
見知った彼女でないと気がすまない。
なのに。
今、現在の彼女にも触れたくて、抱きしめたくて、優しくしたくてたまらない身勝手な自分。
オレはどこまでも我儘で……汚い。