熱い。
触れたところから熱が出る。
目の前に遥の綺麗な顔がある。

そして一瞬、思う。

ずっと、このままがいいのに。

やがて唇は離れ、吐息が漏れた。
だが遥は余裕そうな顔で、言った。


「これで終わりだなんて、思ってないよね?」

「え…?」


そしてまた唇は塞がれる。
熱い、遥の唇が。

唇を割って、熱い何かが入り込む。


「…ん」


それはあたしを味わうように優しく、だけど激しいものだった。

静まったこの道に響き渡る水っぽい音。
あたしはただ遥に身を委ねたまま否定はしなかった。

そして最後に優しく、深い口付けを。


「美月の味がした」

「…」

あたしは鳴りっぱなしの胸を疑う。
初めてだった。
こんな口付けは。
怖かったけど、嬉しかった。

何となく、遥を感じれた気がするから。


「…感じたよ」

「ん?」

「…今のでもっと遥を感じれた気がする」

「っ」


あたしは少し熱を持った瞳で遥を見た。


「…反則」

更に力を入れ、抱き締めた遥。


「…離したく、ない…」


遥の声は震えていて、あたしは少し疑った。