それからあたしはパジャマから私服に着替え、布団をたたんだ。
朝食は面倒くさいから昼食として済まし、今はのんびりテレビを見ている。
木造建築の大久保家だが、テレビは液晶テレビなのだ。
デジタル放送でとても綺麗に映し出される。
基本、テレビをあまり見ないあたし。
だけどこうしてテレビを見ていると面白い事もあったりした。
「ふぁ…ぁ」
だんだんと目が疲れていき、大きなあくびをする。
両手を上に伸ばし、伸びをして手を畳の上に勢い良く下ろし、手を付く、と。
ピッ。
リモコンが丁度あり、違うチャンネルにしてしまった。
「あらら…」
あたしはチャンネルを戻そうとするが、その手は止まってしまった。
テレビに映し出されているのはニュース。
そのニュースの内容は“連続殺人事件”との事。
そして…。
「…ここら辺の地域…」
ゾクリと、背筋が寒くなった。
この暑さだから少しは涼しくなったと思うが。
それとこれとは訳が違う。
『――〇〇県〇〇市〇〇地域にて、殺人事件が起こりました。被害者の武田さん、中澤さん、栗田さん等は全員亡くなったと言われています。容疑者《ネモトカズキ》は未だに逃走中だとの事です』
殺人事件。
亡くなった。
容疑者。
逃走中…。
その後、ニュースではスタジオのゲストのコメントを貰っていた。
『容姿はとても綺麗なんですけどね…』
『被害者は全て女性。それに全員《ネモトカズキ》に惑わされたと言うケースです』
『早く捕まって欲しいですね。女性の人は十分の警戒をしてください』
「…」
呆然と口を開け、テレビから目が離せなくなった。
ドクドクと、気味が悪い程に心臓が騒ぐ。
まさかだけど会うわけ無い。
あたしは少しだけ安堵をして、テレビを消した。