あれからあたしたちは一度も言葉を交わしていなかった。
翔太くんがあたしに遥の事を追及したあの日から。
お互い謝り、仲直りしたつもりだったけど。
そう思ってたのはあたしだけで。

1日帰って来なかったあたし。
だけどお母さん達にはバレてなかったみたいだった。
そこは翔太くんが作り話をしてあたしが寝込んでいたとしてくれていた。

で。

翔太くんは夜、あたしが帰って来なかった事を怒っているのだろう。

きっと、だけど。

「…あ…あのさ…」

あたしは心地が悪い沈黙から逃れようと声を出し、翔太くんに問い掛けた。
目は、合わせずに。

「28日にあるお祭りって…」

「……八千代祭り」

「やっぱり…」

28日が八千代祭りだったんだ…。
でもどうして花恋たちはそれをしってるんだろう。
もしかしてあたしが遅れてるのかも。

あたしははぁーっと溜め息を吐く。
するとまたあたし達の間に重苦しい沈黙が流れる。

「…」

「…」

「…」

「……美月」

「っはい!!」

ふいに呼ばれたその声に、慌てたように返事すると、翔太くんは吹き出して笑った。

「…なんだよ、そのアホ面」

翔太くんの肩は小刻みに震える。

「アホ面って…!!失礼な!」

そう言って翔太くんを睨むと、あたしもつられて笑ってしまった。
なんだか、翔太くんの笑顔が懐かしくて、頬が緩んでしまう。
どうしてあたしはそんなにも相手のペースに乗ってしまうのだろうか。

我ながら呆れてしまうのだ。