しばらくしたら、食器と食器のぶつかる音が翔太くんの足音と共に、こっちへ向かってくる。
なんだろう…。

翔太くんに目を向けると、木材のおぼんを持っていた。
あたしは座っているため見上げる状態だったから、おぼんの上が見えない。

「お待たせ」

翔太くんはあたしの横に座り、あたしにあるものとスプーンを渡した。

「翔太くん?」

「何?」

笑顔で翔太くんはあるものを口へ運ぶ。

「これは…」

「あ、もしかして知らない?」

コクンと頷くあたしに「ごめん」といい、説明をしてくれた。

「これは、白玉だよ」

「白玉…」

「そう」

白玉って、聞いたことがあるけど、見たこと無かったんだよね。
“白い玉”って。
そのままだね。

白玉にあんこがかかっていて、くりにホイップクリームが載っていて、抹茶のムースも載っている。

まさに“和”のスイーツ。

あたしは口に白玉を運んでみた。

「ん~~っ!!」

口の中に広がる甘いあんこ。
モチモチとした白玉によくあっていて。

「美味しーい!!」

「だろ?」

翔太くんは自慢気に言う。
でも確かに美味しいから、見逃してしまう。

「こうゆう、和風のデザートをね、“甘味”って言うんだよ」

「“甘味”ねぇ…」

まぁ、名前なんてどうだっていいや。
だってあたしは、その“甘味”に夢中なんだから。

あたしはまるで子供のように、白玉を頬張ると、翔太くんは不機嫌そうに、あたしを見た。

「……そんなに白玉に夢中になるとは…、思わなかった」

「失態」と、溜め息をはく翔太くんにあたしは口にまた、白玉を運ぶ。
それを見て、眉をピクッとする、翔太くん。


「…俺もかまって…欲しいのに…」



翔太くんは呟く。