その日は目が痛かった。
赤く腫れてヒリヒリしてた。
泣いた。
それくらい自分の事だから分かっている。
思い出しては、泣いていた。
苦しいって分かってても、思い出したくなるあの人の面影。
またかと思うくらい、思い出したことに後悔が生まれる。
後悔が募りに募って、堆積していく現象にあたしは涙を流すことで少しは癒えるだろうと、どこかで思っていたのだろう。

「……」

自室の真ん中。
布団に力無く座って佇んでいた。
寝ようにも寝れないことに少しばかり苛立ちを覚えていた。
苦しいくらいに苛立ちが生まれ、あたしは布団を握る。

嫌だった。

こんな事に苛立つ自分が。
思い出し、悲しくなる自分が。

ただ一人でもがく事がすごく虚しいくらいだ。
忘れたいはずの記憶を蘇らせて、自分を傷付けていた。
それを何回繰り返した事か。
もう、涙なんか流れなかった。

「…遥…」

呼んでも無駄だって。

「は…る…」

何も、変わらないのだから。

「……る…」

最後に言った一文字が消えかかったとき、あたしは眠りについていた。

深く、深く。
身体が堕ちていくように。
何かが切れたように意識は途切れていった。











何かが見えた。
それは泣きそうなくらい眩しい、光の世界だった。