「お邪魔しました」
あたしは遥にお辞儀をする。
遥は「送っていくのに…」と黒いオーラに包まれつつも、あたしを笑顔で見送る。
「あ、待って」
遥は玄関の戸を開けるあたしを止めた。
そして着物の裾から二つの袋を出した。
「何?それ」
「ん?プレゼントだよ」
遥は「はい」とあたしにプレゼント二つを突き付けた。
「二つも…?」
「そう、クリスマスプレゼントと、誕生日プレゼント」
「誕生日…?」
あたしはすっかり、自分の誕生日を忘れていた。
考えてみると、もう過ぎている。
「12月18日でしょ?逢えなかったから遅れちゃった、ごめんね」
「…ありがとう、遥」
あたしは遥に笑顔を向けた。
「大切にするね。じゃ、ばいばい」
あたしは遥に手を振り戸を閉めようとしたけど遥は「開けといていいよ」と言って自分自身も外に出てあたしに手を振ってくれた。
遥が見えなくなるまであたしは手を振ったんだ。
こうしてあたしのお泊まりは無事に終わった。
この時。
「…あ」
遥が戸を閉めようとして締まらなかった事。
「…もう時間が」
手が消えようとしている事など知らずに。