どのくらい探しただろうか。
携帯を見れば《8:52》の表示。
外も真っ暗だし、冷えきっていた。

「さむ…」

暖房も付けず、薄着で暗い部屋で探し続けていた。
電気を付けることなど今のあたしには考え付かないし、そんな単純なことにも頭が回らなかった。

暗闇の中あたしは拳を見つめた。
その拳には悔しさと恥ずかしさが滲んでいた。

「寒い…」

自分の声が消え行くのを耳で感じとると、改めて寂しさを知る。
両腕をさすり暖を取ると、身体を抱き締めた。
不安はまるで飽和状態になる程その力は増していた。


バカだ、どうしてちゃんとして置かなかったんだ。
あたしは自分で自分を責める。
もう遥に会わせる顔もないし、行く先が真っ暗に見える。

「…本当に、どうしたら―――」

「バカじゃねぇの?」

障子を乱暴に開けて暴言を吐く翔太くん。

「こんな寒い中電気も付けないし暖房もいれないし」

「…だって」

あたしはこれ以上の言葉を飲み込みながら俯く。
座り込む膝の上で拳を微かに震わせながら。

しばらくの間沈黙があたしたちを襲った。

「…っ」

あたしはあることに気付いた。
遥のプレゼント事を翔太くんに話してもしょうがないと。
あたしは立ち上がりバッグの横にある赤い包装をし、緑色のリボンをしたプレゼントを手に取った。


「翔太くん…」

「何…?」

「あのね…」

あたしは小さな、本当に小さな勇気を振り絞って翔太くんの目の前にプレゼントを突き付けた。
そしてさっきとは裏腹の笑顔を自分なりに頑張って作った。


「メリークリスマス、翔太くん」

「…………ばか」

翔太くんはそういってプレゼントごとあたしを抱き締めた。
今にも泣きそうな表情をしながら。


まるで何かを手放すかのように強く、強く。


あたしを、抱き締めた。