「え…?」

「泣きそうな顔してるよ」

「っ…」


泣きそうな、顔。
自分が今どんな顔をしているかわからないが、女の子の汚れのない目にはわかったようだ。


「どおしてそんな顔をしてるの?」

「どうして…」




あたしは今、悲しい?
あたしは今、泣きそう?






『美月ちゃん』






あたしはただ、遥の声が聞きたいだけ。

初めてあたしに温もりをくれた。
初めてあたしに愛を注いでくれた。

初めて本当の恋を教えてくれた。



「だれかに、会いたいの?」

「…あたしは」












ただ遥に会いたいだけ。










「…っ、ぅ…」

「泣かないでおねぇちゃん」



知らぬ間に流れた涙。



「ありがとう…」



笑いたいのに上手く笑えないのは欲望が邪魔をしているから。
遥に会いたいって思う気持ちが大きすぎるから。





「おねぇちゃん、コレあげる」



女の子があたしにくれたのは小瓶に入った四つ葉のクローバー。
あたしは受け取り唖然と女の子を見た。



「クリスマスプレゼントだよ」

「…ありがとう」




そう言うと女の子は走って行ってしまった。


小瓶の中に入った四つ葉のクローバー。
あたしは優しく包み込むように小瓶を両手で握った。



『会いに行ってね』



って、女の子に言われたみたいだった。

あたしはその言葉に暖かみを感じ、あたしはまた涙を流した。


「っ……」




遥。



あたしは心の中で叫びながら泣き続けた。
手の中に小瓶を握りしめながら。