しっかりした黒い生地に金色の小さなスタッズが所々に付けられている。
チャックも金色で大人っぽい印象を与える。
「これに、します」
あたしは迷わず言った。
赤い包装をしてもらい、緑のリボンでクリスマスカラーにした。
定員さんから品物を貰い、あたしはこの店を出る。
「遥は、どうしようか…」
あたしは近くにお母さんや翔太くんがいないか確認する。
いないことを把握すると安堵の息を漏らす。
そして遥に合うものを考えてみる。
パッと思い浮かびあたしはアクセサリーショップに向かった。
キラキラ光る、アクセサリーたち。
女の子を釘付けにする可愛さと美しさが圧倒する。
そんな中、一層目がいったのが一つのブレスレット。
銀のチェーンにビーズとダイヤのようなものが付いている。
手にとって揺らしてみる。
「わぁ…」
揺れる度に煌めいて胸が踊る。
これにしよう。
満足いく程遥のプレゼントが買えてあたしも嬉しかった。
たけど。
あたしはピタリと立ち止まり近くにあるベンチに座った。
会えない時間が長すぎて。
心の中に映る遥が足りなくて。
悲しさの方が大きい。
どうして恋をするとこんなにも脆くなるのだろう。
恋ってこんなにも苦しいものなのだろうか。
辛くて苦しくて胸が痛い。
抑えきれない衝動があたしを呑み込む。
「はあ…」
「おねぇちゃん、だいじょおぶ?」
傷付いたあたしに声をかけてくれたのは、汚れを知らない瞳をした一人の小さな女の子だった。