野球部の部室のドアを開けると、 そこには誰もいなかった。 その代わりに、ツーンと鼻の奥を刺激する 汗と土の混じった臭いと、ここの部員の物だと思われるスポーツバックが無造作に3つ置かれていた。 「げっ・・・くっさ、いつから掃除してないんだよ、それに誰もいねえし。」 鼻を抑えた蒼と同時に、わたしも鼻を抑えた。 「うっ・・あぁ、もしかしたら、もう練習してるかもしれないよ?」 「おぉ、そうだな、グラウンド行くか?」