放課後、淕が追試を終えて廊下に出ると潮が待っていた。

『部活?』

『そう、長くなってちょうどよかったから』
潮は茶道部だ。
淕はまだ潮の浴衣姿を見たことがないが、和風美人の潮にはきっと似合うのであろう。

『これ、和菓子をねもらったから淕にあげる』

『ありがとう』
抹茶に合いそうなお饅頭だった。

『イチョウ、綺麗だね』
『あぁ、いまちょうど盛りだからな』

夜でも、イチョウは綺麗に黄色い葉を輝かせていた。