陸が潮に病気の事を伝えて7日間。
病室に飾る花を変えに一度潮は来たものの、結局一言も言葉を交わさなかった。

そんなある日、陸の携帯が鳴った。

『潮…?』

潮からの電話。

『あっあのさ…この間はごめん…。ずっと謝らなくちゃって思ってて…ホントは顔見て言いたいんだけどさ、陸の顔見たら言えなくなる気がして』
潮らしい。

陸はそう思った。

『アッハハ…』

思わず笑ってしまう。

『なっっ 何で笑うの!?』

『いや、潮らしいなぁと思って』

『バカにしてるでしょ』
『してないよ。ありがとう』

フワァっと病室に風が入る。
そして花のいい香りが香る。

『ねぇ、陸』

『ん?』

『直るんだよね…病気』
『そっそれは…』

『約束作ろう!また元気になったら、あの並木道を一緒に歩こう』

陸の言葉を断ち切って、潮が言う。

もう、全てわかっていた。
元気になる確率なんて1%以下。
でも、その1%以下の確率を信じたかった。

例えそれが目を背けているだけだとしても…。