『陸は、人を傷つけないようにしようとか思わないわけ?』

『思ったよ。思った結果がこれなんだ。潮を傷つけたくなくて、言わなかった』
陸の目線の先にある花が二人の会話を聞いていたかのようにうつむいていた。

潮はとにかく、一番最初に自分に言ってくれなかった事が悔しかった。

もっと早く言ってくれた所で何も変わらなかったとは思う。
でも、早く知りたかった。

『大丈夫』と見栄を張られるよりも、頼って欲しかった。

その、すべての思いを抱えて、潮は病室を出た。