『潮…黙っててごめん』
潮の体が震える。

『ごめんじゃないわよ!どうして私に最初に言ってくれなかったの!隣のクラスの男子には言ってるのにさ、寂しかった。凄く』

淕の寝るベッドの裾を握りしめて、潮は叫んだ。
『どんな病気なの?病名は?』

『わからない』

『わからない?』
何だその曖昧な答えは。息を切らしながら潮は思った。

『わからないんだ。まだ同じ病気にかかってる人、あんまり居なくて、病名も、これからどうなるのかもわからない。薬もないんだ』
遠くを見つめて、淕は言った。

何もわからない。
いつまで生きられるかもわからない。
ただ、同じ病気にかかって未だ生きている人はいないらしい。

『前から少し様子は変だとは思ってたよ。なんで、その時言ってくれなかったの?大丈夫、大丈夫って言ってさ。全然大丈夫じゃないじゃない!』

『潮には心配かけたくなかった』

『でも、いつか気づくじゃない』

『それ、如月先生にも言われた』