あたしが迷惑を沢山かけたせいで、母さん達は事故に遭ったの?
あたしのせいで?
全てあたしのせいだと思い込んだ。
葬式が終わってもずっと、泣き続けた。
あたしが殺ったんだって。
そんなあたしに声をかけたのは、遊我じゃなくて、何時でも集ちゃんだった。
何時もの無邪気な顔して。


「結未姉ちゃん、泣いちゃダメだよ?」

「集…?」

「結未姉ちゃんの笑顔が好き!だから笑ってー?」


淋しかった心に、集ちゃんの笑顔が染み込む感じがした。
あの日から、あたしは迷惑をかけないって決めた。
だけど、やっぱり迷惑かけてる…。


「結未姉ちゃん!過去は思い出さない!」

「へ…?」


集ちゃんの声で我に戻った。
過去を思い出すと、あたしって暗くて、思い詰めた顔すんだよなぁ。


「今を考えなよ」

「…はは、だね。ちょっと、肩貸してよ」


こんなにも、あたしを支えて、心配してくれる奴いるんだ。
集ちゃんがその人物。
あたしが過去を思い出さないで、今を考えて過ごすって言ったのに。
集ちゃんに言われるなんて、ちょー情けないね。あたしって。


集side


結未姉ちゃんは、俺の肩を使ったまま寝ちゃった。
自分のベッドで寝ろってば。

俺は静かに姉ちゃんを寝かせ、静かに部屋を出た。
時間を見る為にリビングに行くと…。


「あれ、遊我兄ちゃん…」

「お、まだ起きてたんだ」

「あ、うん」


遊我兄ちゃんは、リビングにてパソコンと睨み合っていた。
明日使う資料とか作ってんのかな?
あ〜時間時間。
今は22時ぴったし。
ま、まだ寝る時間じゃないからいいや。


「はい、コーヒー」

「お、気が利くじゃん」

「明日使う物?」

「あ〜そうだな。必死で作ってる」


煎れたコーヒーを飲みながら、ブツブツとなんか言ってる遊我兄ちゃん。
遊我兄ちゃんは、長瀬家の大黒柱。
必死に頑張って、家計を支えるために仕事をしてる。
そんな遊我兄ちゃんの頑張りを無駄にしたくない俺は、必死に勉強をしてる。
いい高校入って、いい大学入って、就職するんだ。
今んとこ、まだ何も決めてないよ。


「つか、結未どした?何時もなら、テレビ見てんだろ」

「あ〜寝た」

「遊び疲れか!」

「母さん達のことで、疲れて寝ちゃった」

「…あ…そうか」