「総司・・・」
巡察から帰ってきた原田は、縁側に腰掛け足をぶらぶら遊ばせている沖田の姿を見つけた。
その姿に悲しそうに顔を歪めた。
最近、元気がない。
それはつい先日、離桜が脱退した日からである。
脱退とは言っても、土方さんは俺たち幹部以外には『病気療養』だとした。
新撰組に脱退はあまりない。
それは土方が作った局中法度によるものだが。
したがって、離桜を脱退させたというのは表向き、伏せてある。
普通な切腹ものなのだ。
しかし、離桜は女であるしそれに総司が勝手につれてきたのもあって、切腹にはできなかった。
それにしてもだ。
「・・・あの総司が、なぁ?」
「うむ。稽古をさぼるなど、珍しい。」
原田が隣の齊藤に同意を求めるとすぐに返事が帰ってきた。
近藤さんのために、そういって毎日、稽古に励んだ。
いや、励んでいた。
けれど離桜がいなくなってから、稽古に顔を出していない。
「やっぱり、離桜、か・・・?」
「・・・」
黙りこむというのは肯定と、とっていいのだろうか。
齊藤は洞察力に長けている。
いまの総司の心境も・・・と思ったが、普段から総司の心境は読み取るのが難しいらしい。
眉をひそめたまま、なにも言わない。
原田は、はぁ、とため息をついた。
「離桜、どうして、脱退なんて・・・」
離桜の気持ちが分からない原田たちは早く帰ってきてほしいと、そう願うのだった。
______数日後。
土方のもとに、最悪の事態が届けられる。
「副長!!」
「どうした、山崎?!」
最近はあの、浪士惨殺事件も音沙汰なく、浪士の過激な行動も特になく、違うことで頭を悩ませていた。
だから、観察方である山崎がこんなにも切羽詰まった表情でやってくるのにただ事じゃないと気を引き締めた。
「加賀美さんが・・・!!」
「?!どうしたんだ?!あいつに、何があった?!」
山崎の口からでた「加賀美」という名。
それを聞いただけで土方の表情が変わった。
焦りの色が顔からみてとれる。
「山崎くん、詳しく、迅速に説明して。」
どこからやって来たのか総司が山崎に詰め寄る
「お、沖田さん?!」
「いいから、早く説明!!」
こんな焦った顔の総司は久々にみた。と、騒ぎに集まってきた幹部らはじめ土方と近藤も総司の焦りように驚いた。
「大変なんです!!加賀美さんが・・・」
山崎が話し出すと、総司はすぐに立ち上がった。
「総司、どこに行く?!」
「加賀美のところに。」
「待て!!お前一人では_____」
「加賀美は俺の部下だ!!ほっとけると思いますか?!」
俺一人でも行きます。そういって山崎から伝えられた場所に、一人で向かっていった。
その様子にがしがしと頭をかきながら土方はため息をついた。
「あいつは・・・一人で行くのは無謀過ぎる。何人いるかも分からねぇのに。」
「それほど、離桜ちゃんを想ってるってことだよ。」
「原田に永倉。行ってくれるか。」
「任せとけ!!」
「あいつ一人じゃ心配だしな!!」
「頼む。」
そう言って、永倉たちは走り出した。
「さて、体制を考えようか。」
「あぁ、だが、時間がねえ。さっさと決めるか」
山崎からもたらされた報告。
それは離桜が『複数の人間に襲撃されている』とのことだった。
「・・・よし、それでいこう。」
沖田のが出ていってから直ぐに斎藤たちも近藤の指示を得て駆け出したのだった。
巡察から帰ってきた原田は、縁側に腰掛け足をぶらぶら遊ばせている沖田の姿を見つけた。
その姿に悲しそうに顔を歪めた。
最近、元気がない。
それはつい先日、離桜が脱退した日からである。
脱退とは言っても、土方さんは俺たち幹部以外には『病気療養』だとした。
新撰組に脱退はあまりない。
それは土方が作った局中法度によるものだが。
したがって、離桜を脱退させたというのは表向き、伏せてある。
普通な切腹ものなのだ。
しかし、離桜は女であるしそれに総司が勝手につれてきたのもあって、切腹にはできなかった。
それにしてもだ。
「・・・あの総司が、なぁ?」
「うむ。稽古をさぼるなど、珍しい。」
原田が隣の齊藤に同意を求めるとすぐに返事が帰ってきた。
近藤さんのために、そういって毎日、稽古に励んだ。
いや、励んでいた。
けれど離桜がいなくなってから、稽古に顔を出していない。
「やっぱり、離桜、か・・・?」
「・・・」
黙りこむというのは肯定と、とっていいのだろうか。
齊藤は洞察力に長けている。
いまの総司の心境も・・・と思ったが、普段から総司の心境は読み取るのが難しいらしい。
眉をひそめたまま、なにも言わない。
原田は、はぁ、とため息をついた。
「離桜、どうして、脱退なんて・・・」
離桜の気持ちが分からない原田たちは早く帰ってきてほしいと、そう願うのだった。
______数日後。
土方のもとに、最悪の事態が届けられる。
「副長!!」
「どうした、山崎?!」
最近はあの、浪士惨殺事件も音沙汰なく、浪士の過激な行動も特になく、違うことで頭を悩ませていた。
だから、観察方である山崎がこんなにも切羽詰まった表情でやってくるのにただ事じゃないと気を引き締めた。
「加賀美さんが・・・!!」
「?!どうしたんだ?!あいつに、何があった?!」
山崎の口からでた「加賀美」という名。
それを聞いただけで土方の表情が変わった。
焦りの色が顔からみてとれる。
「山崎くん、詳しく、迅速に説明して。」
どこからやって来たのか総司が山崎に詰め寄る
「お、沖田さん?!」
「いいから、早く説明!!」
こんな焦った顔の総司は久々にみた。と、騒ぎに集まってきた幹部らはじめ土方と近藤も総司の焦りように驚いた。
「大変なんです!!加賀美さんが・・・」
山崎が話し出すと、総司はすぐに立ち上がった。
「総司、どこに行く?!」
「加賀美のところに。」
「待て!!お前一人では_____」
「加賀美は俺の部下だ!!ほっとけると思いますか?!」
俺一人でも行きます。そういって山崎から伝えられた場所に、一人で向かっていった。
その様子にがしがしと頭をかきながら土方はため息をついた。
「あいつは・・・一人で行くのは無謀過ぎる。何人いるかも分からねぇのに。」
「それほど、離桜ちゃんを想ってるってことだよ。」
「原田に永倉。行ってくれるか。」
「任せとけ!!」
「あいつ一人じゃ心配だしな!!」
「頼む。」
そう言って、永倉たちは走り出した。
「さて、体制を考えようか。」
「あぁ、だが、時間がねえ。さっさと決めるか」
山崎からもたらされた報告。
それは離桜が『複数の人間に襲撃されている』とのことだった。
「・・・よし、それでいこう。」
沖田のが出ていってから直ぐに斎藤たちも近藤の指示を得て駆け出したのだった。