松本が立ち去った部屋には、
今、重苦しい空気が立ち込めていた。



「・・・」



芹沢のいきなりの登場で
停止状態だった近藤もいつの間にか我に返り、
いつもどおりの柔和な笑顔を顔に貼り付けていた。




「芹沢さん。
 珍しいですね、芹沢さんみづからこちらへいらして頂けるなんて。


 今回は何用で?」





平静を装い、何事もなかったかのように
話しかける。



近藤が芹沢に話しかけると
部屋の中にいた幹部たちも姿勢を正した。





その光景を見て、
芹沢は、ふっ、と笑った。




「芹沢先生は、わざわざ隊士たちの様子を見に、参ったのですよ。」





その言葉は芹沢の後ろ-----壬生浪士組副長の新見 錦から
聞こえてきた。




「これはこれは・・・
 わざわざ、お気遣い感謝いたします。」




そう言って微笑んだのは、
総長の山南さん。