次の休み時間、由架は颯爽と私の席まで来て、私に話しかける。
梨子も楽しげにしながら私の席までやってきて、由架をにやにやしながら見つめていた。

竹井くんは私の前の席なので、今は近い所にいるわけだが。




「ねっ、ねえ、竹井くんっ!さっきの英語の、内容わかる!?」



由架が緊張した面持ちで、竹井くんに話しかける。
ケータイをいじっていた竹井くんは、緩やかに振り向いて、私たちを視界に捕らえながら会話に答えた。

「いや、俺、あんまり英語得意じゃないからよくわかんないなあ・・・英語なら、花本サンの方が得意なんじゃないの?」

純粋な視線が、由架から私に変わる。
由架は少し的外れな答えを返されたせいか、面食らっている様子だ。




そんな様子を見て、梨子がため息をつきたそうな表情でいるが、無視をして助け舟を出す。



「皆が思ってるほど、得意じゃないよー、多分竹井クンのほうが上なんじゃないかな?由架に教えてあげてよ」


と私は言うが、英語はクラス順位でも高いほうだ。
というか、完全な文系なので英語と国語しかできないんだけど。




「そうなんだ、俺が分かるところまでで良ければだけど・・」


ちなみに由架は地味に頭が良いので竹井くんよりは英語分かっていると思うけど。
そんなことわざわざ言おうとは思わなかった。








「ちなみにアタシは全くわかんないよ☆」
「威張って言うことじゃないよね」

てへ、と笑う梨子に突っ込みを入れつつ、二人の会話をぼーっと眺めた。