「花本サン、メアド教えて!」

ずさーーーっ。


いや、今のは実際にコケたわけじゃなく。
心の中の私がコケたというか、なんというか。

とりあえず驚いて固まってしまった。

「花本サーン?」
「あっ、う、うんっ、いいよっ?」


ここで断るのも相手に悪いし、逆に変に思われてしまうかもしれない!
メアドくらい、今時男女で交換するしね、うんうん。

そういいつつ、メアドを交換する。


「あ、俺と同じ会社だ」


交換完了した私のメアドを見て、竹井クンがそう呟く。

「あ、ほんとだね」
「ありがと、花本サン」
「いえいえ」

相変わらず、子犬みたいな笑顔を振りまいてくる子だ。




(今の、由架に見られてなかったかな・・??)


そう思いつつ由架を見ると、なにやら英語の教科書とにらめっこしていた。
気がついていないようなので、ほっとする。






・・・別にやましいことなんてしてないのに、何でほっとしたんだろう・・。






私は思わず、小さくため息を吐いた。