「あんたが月園結惟?」

起希ちゃんとショッピングに出掛けた休日。

わたし達の目の前には見知らぬ女の子。

「こらっ、いきなり目の前に現れて『あんた』は失礼でしょ!?」

「関係ない人は黙ってて。わたしは月園結惟と話がしたいの」

起希ちゃんを無視して、その子は鋭い目でわたしを睨みつけた。

「わたしに用って?」

「水泡調のことよ」

突然出た調君の名前に、言葉が詰まる。

「あんた、調から離れなさいよ!あんなことしておいて、よく調の前に顔出せるね」

あんなこと……

突如蘇る6年前の光景。

「やめて……」

「まさか、忘れたわけじゃないでしょ?」

「もうやめて!」

「ちょっと、いったい結惟ちゃんが何したっていうの!?6年前に何があったの!?」

「それは、そこの女に聞いてみるといいわ」

最後に彼女は、わたしを睨みつけてこう言った。

「わたしの名前は木通氷雨(ひさめ)。調はあんたなんかに渡さない」