「おっちゃーん、もうちょいオマケしてくれへん?」

八百屋さんの前で、一際目立つ女子高生。多少人見知りはするけど仲良くなったらオープンな性格。
歳上、年下関係無し。

ただ、30、40代のおばちゃんたちが多い人混みの中、明るい赤茶色で長く巻いている髪型は目立っていた。

「しゃーないな~、飛鳥ちゃん可愛いからええよ♪」

「ありがと♪またくるね~♪」

八百屋のおっちゃんから、オマケしてもらってミカンを3個袋に入れてもらった。

いつものように得した気分になりながら家へと帰る。

右手には八百屋で買った食材を、左手にはスクールバックを持っている。

そう今は15時30分。学校の帰り道。

晩御飯の食材を買って帰る女子高生は今時珍しいと思う。

しかも今時の格好をしているし、料理なんてしなさそうな長く派手にデコレーションした爪。

「ただいまー」

「飛鳥ちゃんおかえりっ♪」

「ただいまー♪めっちゃあ~ん♪」

私を出迎えてくれたのは、妹(5歳)の恵。
私が18歳だから、なんと13歳差。

「あすかあ~、今日の飯なに~?」

「今日はハンバーグやで」

「おっ♪恵の好きなやつやん、よかったなあ~♪」

「うんっ♪」

話しかけてきたのは兄の翔也。年齢は19歳。去年高校を卒業した。
兄も妹の恵にはベッタリ。