「おはよう、

"愛のキューピッド"さん。」


「え゛」


「やあ、"愛のキューピッド"。

・・・元気?」


「あ゛。」



なんで俺・・、

この2人と同じ席?  イジメ?



「怒んないでよ、悪かった。」




二日間の神戸でのロックフェス。


新幹線で約4時間、

"愛のキューピッド"こと、俺、

小田ヨウジロウは彼らと一緒に

早朝、東京を出発した。



実は先日、

レギュラー番組でもある

某深夜バラエティでつい、

ポロリと云った事がとんだ事に。

どんどんツッ込まれてポロポロ。


聞けばそのせいでカ・ナ・リ、

この2人に迷惑を掛けたらしい。



「昼飯はヨウちゃんのオゴリね。

そのツモリだったでしょ・・?」



シレッと云うゴオ君とは対照的

にナギちゃんはニッコニコで。



「神戸ビーフとは言わへんけど

神戸ビーフサンドが食べたい♪」



一緒じゃないの? それって・・。



「・・ハイ、覚悟デキました。」



口は災いの元とはこの事だ。

手痛い出費は覚悟しよう・・。


向こうに着いて、

他のバンド連中は

中華に走っていったが

俺達は

ナギ嬢のリクエスト通り

神戸ではちょっと有名なカフェの

美味いサンドで腹ごしらえ。


3人で食べていても、

いつも通り静かなもんだ。


でも、ふと見ると

ゴオ君は頬杖つきながら黙って

彼女をジッと見てたりして。



「ナギ、ココついてる」



ああん! なにそれっ、

その何時になく優しい眼はッ!

俺にもそんな温かい目を頂戴よ。


でも・・やっぱりアレだ。

彼女を"目のゴミ"にしたって

ゼンゼン平気っぽいなコリャ。