「ねえ、母さん。

彼女を色眼鏡で見るの、

もう止めて貰えない・・?」


俺は母を車で送った時、

頭に来てた事をブチまけた。



「・・俺ね、何も最初から

銀座勤めの彼女にホレた

訳じゃないんだから。」


「店で会ったんじゃないの?」


「違うよ。彼女が上京して来た

新幹線で、隣の席だったんだ。」



そう、第一印象は・・やっぱり

"キラキラして、楽しそうなコ"


お店って云ってたけど、風俗や

キャバじゃないとは解ってた。


母の云う通り確かに、垢抜けて

雰囲気が"はんなり"してたから。


それに

トイレで半分お尻見られた後、

顔が桜色になってた位だから。



「何よ、ニヤけちゃって。」

「・・そう?」



母は隣で実にオモシロくない

顔をしてる。溜息も出るさ・・。



「・・・がっかりだな。」

「何が・・・?」



「母さんはもっと見る目のある

・・人をちゃんと見抜ける人だ

と思ってたよ・・がっかりだ。」



ちょっと突き放してやった。

事実、俺はそう思っていたし。



「・・・そ!」



そう云われた母が

眉間にきゅっと皺を寄せたのを

横目にも見逃さなかった。