死んだオヤジが長い事、浮気

してたのがそこの女だった。



彼女だって仕事をどうするか

その位考えている。


それを母に

どうこう言って欲しくなかった。



「すみません、今すぐ

片付けますから、どうぞ。」



俺が広げていたパンフを閉じて

手に抱えながら母にイスを引く。


その何気ない合間にも彼女に

刺す様な視線を送り続けてた。



冷たいお茶と貰い物の水羊羹を

出し終えてからようやく

ナギ自身も席に着いた。



「紹介するよ、母の真弓。で、

コチラが小野原和祇さんね。」


「どうぞ宜しく」



母は浅く会釈しただけだ。



「式はいつ?」

「まだ

ぜんぜん決まってないよ。」




ナギがハッとしたかに

俺の顔を見た。テーブルの下で

ツンと彼女の膝を突っついて。

そしてその目を反らさずジっと

見つめながら云いのけた。



「スケジュールの方も調整して

引越しもしなきゃならないし。」


「・・随分ノンキねえ。」