私…間違えてるの?
 こうちゃんと付き合っちゃだめだったの?
 分かんない、分かんないよ。
 でも私みんなが…
 幸せになってくれるなら、私はいい。
 時間が経てば、こうちゃんの事好きになれる。
 好きになるもん、ちゃんと恋になる。
 今だってこんなにあったかいのに。
 こうちゃんを想うと胸が温かいの。
 これが恋ならもう後悔なんてない。

「…!」


 一瞬頭の中に中川先輩がいた。
 だめ、忘れなきゃ。忘れなきゃだめ。
 そして私の目に涙がたまる。
 悲しみが切なさが一気にきた。


「わーん…!」


 布団にうずくまって声を堪える私。
 どうして、好きになっちゃったんだろう。
 どうして、中川先輩を…。
 好きになっちゃったのかな。
 こんな想いするなら、好きにならなきゃよかったよぉ。


 それぞれに抱く4人の想いは
 すれ違い儚くて苦しいものだった。


 私の扉の前に立ち止まる隼人兄ちゃん。


「…やっぱりね。」


 〔優愛、自分で気付かなきゃだめだよ。
 人の幸せは自分の幸せ。そうだと思うけど、
 時にはその考えのせいで
 たくさんの人が傷つくし悲しませる事になる。
 それは自分で気付かなきゃ意味がない。〕


 恋ってこんなに辛いんだね。
 こうちゃん…桃…。
 みんなのために、
 このまま時間に任せて
 少しずつ中川先輩を忘れよう。

 ゆっくりと起き上がると
 ペンを持って折り紙に文字を書く。

【好きな人と幸せになれますように】

 好きな人…それはこうちゃんだから。


 これがまさか、願いが叶うなんて
 思ってもいなかったのでした。