~校門前~

「お嬢様、今日は随分遅いですね。」



桜井が笑顔で言う



「ごめん、ちょっとね…」



いつもと違う惺來の様子…。



ずっと惺來に仕えてきた桜井だが、こんな姿は今まで一度も見たことがなかった



「お嬢様?大丈夫ですか??」



「ううん。何でもないの…、それより早く帰りましょう」



「かしこまりました」



家に着くと、『食事はいらない』とだけ言い残し、部屋に閉じこもってしまった



草凪隼人…彼なら何か知っているかもしれない…



と思い、桜井は隼人に電話をかけた



「もしもし、草凪様のお宅でしょうか?」



『はい、そうですが…。どちら様でしょうか??」



「失礼致しました。私、宝城院家に仕えております、桜井と申します。よろしければ、隼人様とお話がしたいのですが…」



『少々お待ちください』



しばらくすると、隼人が電話に出た



「お忙しいところ、申し訳ございません。」



『いえ、お気になさらず』



「実は…」



惺來の今までの様子などを説明した



『そうですか…。惺來の様子がおかしいのは、俺のせいだと思います。」



「ケンカでもなさったのですか?」



『今はその…』



話したくないことを察した桜井



「いえ、お気になさらず。突然申し訳ございませんでした。では、失礼致します」



そう言って、受話器を置いた



これは、お嬢様にとっていい機会だ。



私が口出ししては、お嬢様は成長できない…



事の成り行くままに任せるしかないな…