~惺來~

「お嬢様がお友達をつれていらっしゃるのは、初めてですね。」



執事の桜井が笑いながら言う。



「そうね」



と、ピアノを弾きながら答える。



「何か特別な意味でも?」



少しからかうような口調で言う桜井。



「別に、そんなんじゃない。」



そう・・・、別に。



どーしても私のことを知りたいって言うから、連れて来ただけ・・・



ふと、手が止まる。



「お嬢様?」



こんな惺來を見るのは、長年仕えてきた桜井でも初めてだった・・・。