…えっ?

否定…しないの?

そう思いながら見つめている間に、彼の顔が近づいてきて。


ちゅ、と。


身構える間もなく、竜崎くんの目の前で、私は頬にキスされた。


目を見開いた私と、竜崎くんと。

そのまんなかで、シロはニッコリと笑う。

もちろんその笑みは、まっしろなものだったけど。

それだけじゃないって…私は、もう知ってる。


「こういうことだから。学校では秘密の関係ってやつでさ。…黙ってて、くれるよね?」


有無を言わさない、シロの笑顔。

カチーーーンと、竜崎くんはキスの衝撃もあってか、見事に固まっていた。

何も言えないでいる彼に、シロはさらに「ね?」と押してくる。

竜崎くんはハッとして、顔を引きつらせながら、「…わ、かった…」と言った。


…けれどキスの衝撃に固まっているのは、私も同じ。

事実を確認するにつれて、大きな大きな感情の波が私を襲ってくる。