三つも追試があるなんて、びっくりよ。

半分くらいはシロのせいでもあるんだから、このぐらい付き合って当然だわ。

ふんっとしながらも、頬を膨らませる。

シロはそんな私を見て、くすりと笑いながら、「別にいいけどね」と優しく言った。


「特に予定もなかったし。面白かったから、いいよ」


…穏やかに細められた瞳に、どきりとする。

シロはときどき意地悪だけれど、やっぱり優しいのは変わらなくて。


私は、すっかり気を抜いていた。

シロとふたりきりで過ごす時間が、心地よくて。大好きで。


顔が熱くなりそうになるのを必死に抑えて、彼の家の前で振り返る。

ムッとして、彼の目を見た。


「…面白かったって、何よ」

「え?聞きたい?」

「聞き…な、何よ!?そんな笑うことなの!?」


ああほら、こんなに魅力的に笑って、私をからかってくる。

私はそんな彼に目を奪われて、気を取られて。

辺りに気を配るのを、忘れていた。