『できれば俺は、学校で美愛子をいじめたくないからさ。美愛子も嫌でしょ?だから、話しかけてこないで欲しい』
しらっと、そんなことを言うシロ。
私はもう、何も言えなかった。
頭の中ではたくさんの文句が飛び交っていたけれど、何ひとつ口にできなかった。
だって、確かに学校で、今みたいにいじめられたら、私は絶対天使ミアちゃんを保っていられなくなるだろうから。
そして何より、今目の前にいるこの男にこれ以上歯向かえば、間違いなく倍以上のしっぺ返しを食らうだろうと思ったから。
『………っ』
私は結局、『シロの馬鹿ぁー!!』という幼稚な捨て台詞しか残して帰れなかった。
悔しい。もっとこう、あの男に対抗できるボキャブラリィが欲しい。
そんなことを思いながら、私は帰宅したのだけれど。
思い出すだけで、心臓が痛くなる。
どうやらシロの『意地悪』はもとからで、私にだけ隠していたみたい。