すると、シロはコーヒーの入ったマグカップを持って、じっと私を見てきた。
ドキドキしながらその表情を見ていると、またシロはニヤッと笑って、顔を近づけてきて。
私が『ひっ』と狼狽えて後ずさると、シロは面白そうに肩を震わせて笑った。
ああほら、コーヒーがこぼれちゃうじゃない。
だから笑うのをやめなさいよ!
そう思いながらも、そんなこと言えるはずもなく。
くっくっと笑うシロを、私は赤い顔で見ていた。
しばらくして、はぁ、とため息をついて、シロが顔を上げる。
それでもまだ口角は微妙に上がってて、私はむかっとした。
『…ほら、だからさ。今みたいな感じになっちゃうんだよ』
『い、今みたいって…?』
『美愛子の顔見てると、いじめたくなる』
私の頭が爆発した。
死ぬかと思った。
胸キュンとか、そんなレベルじゃない。鷲掴み。ギューギューだわ。
『…な、な、な…』
『特に、学校の“姫宮さん”。見てるとムカつくんだよね。あの作り笑顔、崩したくなる』
そう言って、シロがまた私に顔を近づけてくる。
ますます赤くなる私の顔を見て、面白そうに笑う。
……わかってる。こいつ、わかってやってる……!!
私がシロのこと大好きなの、知っててはぐらかしてる!!